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住宅コラム

高気密高断熱の新築で購入するエアコンは何帖用がおすすめ?

少し暑くなってきた今日この頃ですが、夏に近づくとエアコンが家電量販店でも売上が伸びます。

エアコンには6帖用や10帖用といった容量がありますが、この容量の選び方などをお伝えしていきます。

エアコンの容量の基準になっているポイントを解説するとともに、新築を購入する時のエアコンの適正な機種を選ぶ参考になる記事です。

それでは今回の記事の要点から見ていきましょう。

  • ・エアコンは、1の電気で3~7程度の熱エネルギーを作り出せる、現在もっとも省エネ効率の高い冷暖房方式
  • ・エアコンを選ぶときは「APF」を基準に選ぶと省エネ性がわかりやすく、おおむね「6」を超える数値の機種であれば高い省エネ性がある
  • ・エアコンの帖数表記は、昭和55年の断熱性能が基準になっており、現在の高気密高断熱住宅と全く合っていない測定方法になっている
  • ・断熱性能毎にこの容量にすれば良いという方程式はないものの、帖数通りのエアコンを導入すると過剰になる
  • 1. エアコンの知っておくとよい基本

    1-1. 室外機=ヒートポンプ


    出典:環境省

    エアコンの能力は実質的に「室外機」の能力ですが、室外機にはヒートポンプという技術を使っています。

    昨今、日本だけでなくヨーロッパ・北米を中心にヒートポンプが注目されていますが、理由は、不安定な世界情勢に伴ってガス供給の不安から、再生可能エネルギーへの依存度が上がっているからです。

    2022年には欧州のヒートポンプの販売数が38%も増加しました(出典:JETRO

    ヒートポンプとは、空気を圧縮した時の熱を利用して熱を創り出す仕組みで、エアコン・エコキュートなどに活用されている技術です。

    ヒーターなど直接熱を作り出す機器に比べて、1の電力に対して3~7倍相当の冷暖房効果を作り出しており、非常に省エネ効果が高い技術です。

    1-2. 室内機


    出典:Looop電気

    室外機とセットで使われる室内の壁についている、おなじみの機器が室内機です。

    エアコンは、室内機と室外機がセットで構成されます。

    よく外の空気を取り込んでいると思い込んでいる方も多いようですが、室内機は部屋の空気を吸って、温調して部屋に戻しています。

    最近は換気もできるエアコンも販売されていますが、その換気量はほとんどの機種で約6~8帖程度の換気量しかありませんので、しっかり換気をすることは技術的もまだ難しいです。

    2. エアコンの能力の基準

    エアコンのカタログを見ていると「6帖用」という表記がありますよね。

    これは単純に6帖部屋に適しているエアコンの能力があるのかな?とわかりやすいですが、他の能力表記は少し難しいですよね。

    まずはエアコンのカタログに表記されている用語を解説していきます。

    2-1. エアコンのカタログで見る数字


    出典:ダイキン・カタログをフジタにて編集

    上図は、23年度のダイキン社のエアコンカタログを抜粋したもの(RXシリーズ・10帖用)です。

    ◆帖数表記
    今回の最大の「ツッコミどころ」である、昭和55年の断熱基準の家での目安帖数

    ◆電源
    100Vもしくは200V、電源プラグ形状が表記されています。
    単相100V:15A
    単相100V:20A
    単相200V:15A
    単相200V:20A

    ◆消費電力
    エアコンでの瞬間的な消費電力が表記されています。
    「定格条件」とは、各社統一で決まっている条件下で運転したときに使う電力のことです。

    ◆APF
    元の電力に対してどれくらい冷暖房の能力として変換できるか?を数値で表した数値です。
    数値が高いほど省エネ、となり目安として「6」を超えていると高い省エネ性がある、と判断してよいです。

    ◆消費電力量・期間合計(年間)
    1年を通じて、そのエアコンで使うと想定される消費電力量を指します。
    この数値に、契約されている電力会社の電力単価を掛け算すると、おおむねの年間消費電力がわかります。

    ※例)北陸電力・従量電灯 / 25円(3段階目料金+再エネ賦課金・燃料調整費含まず)の場合、779kWh × 25円 =19,475円(1年間合計)

    なお、電力単価は契約内容やその条件下で変動しますので、あくまで目安程度でお考え下さい

    ◆定格出力
    エアコンが室温を整えるための能力(パワー)を表しています。

    2-2. 帖数の基準は「昭和55年の基準」


    出典:資源エネルギー庁・資料

    今回の注目ポイントは、エアコンの帖数表示の基準が「昭和55年の断熱基準の家をベースにしている」ということです。

    上図の上のグラフは、住宅の断熱基準ごとのエアコンの負荷を表しており、下のグラフはJIS基準によるエアコンの負荷を表しています。

    JIS基準とは、各社統一の測定方法で競うためにある基準で、国内メーカーのエアコンはこのJIS基準に従って能力を測定しています。

    これを見ると、JISで想定する住宅は、昭和55年の住宅基準と同⽔準となっており、現在の新築の断熱性とはかけ離れた基準です。

    言い換えれば、今の新築の18帖に対して18帖用のエアコンは「過剰スペック」であると言えます。

    資源エネルギー庁では、この測定方法をようやく改正するような動きが出ていますが、現状では新築の断熱基準とは全然合致していない基準・測定方法による表記であることは知っておきましょう。

    3. 高気密高断熱の家では部屋の帖数 ≠ エアコンの帖数

    資源エネルギー庁の資料では、平成11年基準を超える断熱性能の家ではエアコンの負荷が約3分の1以下となっています。

    フジタでも平成11年基準(=断熱等級4)を大きく上回り、ZEH基準すら超える断熱性能で新築を建てています。

    そのため、部屋の帖数=エアコンの帖数ではおすすめしていません。

    6帖の部屋であれば、それ以下のエアコンはなかなか無いため、6帖用がおすすめになってしまいますが、リビングなど大きな部屋では帖数より小さなエアコンをご提案しています。

    しかし、この帖数もどれぐらい下げれば正解、という方程式はありません。

    理由は、日射の取り込み量・開口部の大きさ・部屋の容量(吹き抜けがある・リビング内階段になっている等)によっても大きく変わるからです。

    そのため、単純に床面積である帖数でエアコンの能力は語れません。

    4. フジタでは「適切な」省エネ住宅を提案

    フジタでは、上記のエアコンのように単純な帖数でオススメするのではなく、石川県の気候風土も考えたうえでの、適切な省エネ住宅を提案しています。

    断熱性能も、家全体の数値を闇雲に上げればいいわけではなく、部屋の開口の大きさや方位など、様々な条件を加味して設計する必要があります。

    また、断熱性能を上げるだけであれば、窓の大きさを小さくする・窓の数を減らすといったことをすればUA値を上げるコトはできますが、普段の生活において本当に快適と言えるでしょうか?

    フジタではZEH基準を超える断熱・省エネは当然として、目的・効果・費用それぞれのバランスが適切と思われるレベルで設計しています。

    エアコンの能力まで考えることができる住宅会社はそう多くはありません。

    気になった方はフジタのモデルハウスへ体感も含めて、ご見学お待ちしております。

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