最近の新築は、断熱性能がどこの会社でもレベルが高く、ほとんどの会社で「高断熱がいい」という話を聞くと思います。
フジタでも高断熱住宅が標準になっていますが、この高断熱住宅は「実際どれくらいの効果があるの?」と疑問に思っている方も少なくないでしょう。
今回は高断熱にすることによる効果の1つである、電気代の削減効果について着目して解説していきます。
少し専門的な難しい内容ではありますが、フジタの実際のモデルハウスを基に、わかりやすくお伝えしていきます。
それでは、まず今回の記事の要点をみていきましょう。
1. 高断熱にする電気代削減効果
結論からお伝えすると、断熱性能を上げれば、その分電気代は下がっていきます。
ただし、皆さんが期待するような電気代が半分になったりするような効果まではありません。
フジタの入江モデルをベースにして電気代の試算をしてみました。
※計算条件
・「住宅・住戸の省エネルギー判定プログラム(独立行政法人建築研究所)」を用いて計算した結果(設計一次エネルギー消費量)を使用
・一次エネルギー消費量から電気、ガスへの変換 電気:1kWhあたり9.76MJ ガス:1m3あたり45MJ 「省エネチューニング ガイドブック」(一般財団法人 省エネルギーセンター)
・電気・ガスの単位量から料金への変換は、2022年11月時点で 北陸電力に掲載されている、一般的な料金メニューを使用
・オール電化(くつろぎナイト12)住宅を想定し、昼間の在宅少な目で試算
上記は、間取りや仕様を変えずに、断熱性能であるUA値のみを変更して、年間でどれくらいのエネルギーを使うか?それを電気代に変換した表です。
ZEH基準のUA値が、昨今は一般的になりつつありますが、フジタの入江モデルでもUA値は0.57という設計値になっていますが、想定される電気代(オール電化)は19,769円。
そのままの間取り・設備仕様でUA値のみを0.1向上させると、削減できる光熱費は 月 1,000円程度となります。
断熱性能を向上させると、比例して効果も上がっていきますが、この削減効果とイニシャルで掛かってくるコストとのバランス(費用対効果)は考えた方が良いでしょう。
1-1. 設計値と実際の乖離はあるのか
ここで疑問に上がってくるのは、「机上の計算」と「実際の光熱費」が本当に近似値になるの?というポイントです。
結論から申し上げると、ほぼ「近似値になる」ことが証明されています。
もちろん、お住まいの人数や使い方によって変動するため、あくまで参考としてお考え下さい。
出典:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2020 資料 加工
上図は、ZEHで建築した家庭への調査結果の抜粋です。
元々、設計段階で1年間で消費されると想定されていたエネルギー消費量(64,370MJ)と、実際に生活した時の平均エネルギー消費量(67,000MJ)となっています。
なお、MJ(メガ・ジュール)とは、ガスや電気などの異なったエネルギーを1つの単位にまとめる、エネルギーの量を表す単位です。
この調査結果からも、建てる前の机上での計算値と、実際の光熱費はほぼ相関している、と言ってよいでしょう。
2. 断熱性能の違いは体感できるのか
ここで電気代とは別軸の視点ですが、高い断熱性能はどこまで体感で差があるのか?というポイントにも少し触れておきます。
出典:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2020
ZEH補助金の採択を受けた家へのアンケート調査から、外皮性能別による「冷暖房機器の効きが悪いと感じた」割合を当方で転記したものです。
このアンケートは断熱性能ごとの体感による違いを表すものです。
断熱等級5(ZEH基準)~ 断熱等級6(HEAT20・G2)のグループでは、冷暖房の効きが悪いと感じた割合が夏は約12%、冬は約10%となっています。
一方、超高断熱と言われる断熱等級7(HEAT20・G3)のグループでは、冷暖房の効きが悪いと感じた割合が夏は約12%、冬は5.0%となっています。
夏はほぼ同等、冬の暖房の効きの体感差が約5%(100人中5人が感じ方がちがってくる)となっています。
この5%の体感の差に、どれだけの建築コストを掛けるのか?は冷静に考えた方が良いでしょう。
3. 電気代削減効果は省エネ機器がカギに
上記では断熱性能を上げれば、電気代の削減効果は上がっていくものの、体感による差はあまりない、という解説をしてきました。
北海道のような気候であれば、断熱性能を上げるコトに意味はありますが、一般地とされている石川県近郊では、どのような対策が電気代に効くのでしょうか。
答えは、エネルギー消費量の多い機器を高性能化すること、です。
出典:資源エネルギー庁
上図は、家庭においてエネルギーを使っている割合を表したグラフで、「冷暖房」で合算 28.6%、給湯で28.4%となっており、半分以上が暖房・給湯で占められています。
このエネルギー消費量は、電気代に直結してくるため、給湯・冷暖房の設備機器を省エネ性能が高いものにすると効果的です。
3-1. 光熱費だけ考えれば、最適解は壁付けエアコン・エコキュート
そして使用量の大きい暖房では、壁付けエアコン(最新型・高性能タイプ)が、もっとも電気代を抑える効果があります。
理由は、ヒートポンプ方式のため熱をもっとも効率的に生み出せるから、です。
一般的な暖房器具(ファンヒーターなど)は、例えば800Wという電力(=エネルギー)をそのまま熱に変換して、空気などを温めるために使います。
出典:ダイキン工業
一方、ヒートポンプは空気中にある熱(気温)を利用して熱を創り出します。
空気は圧縮すると熱を持つ性質があり、その熱を集めてエアコンの熱源として利用します。
そのため電力として使うエネルギーは、圧縮機を圧縮させたり、解放させるエネルギーになっており、熱を直接的に生み出すエネルギーより小さくて済み、省エネ性が高いのです。
さらに、年式が新しいエアコンの高級機種で技術進化が顕著になっており、リビングの冷暖房は新しい・高級なタイプのエアコンがおすすめです。
ただし、エアコンは電気代のみを考えた場合で、気流が不快になりやすいデメリットもあります。
そのため、やさしい暖かさである床暖房の場合も、熱源をヒートポンプ式にすると、ランニングコストを一番抑えることができます。
また給湯も、ヒートポンプを利用しているエコキュートで、省エネ性能が高い機種であれば、年間で使うエネルギーを削減する効果が高いと言えます。
4. フジタではお客様ごとの電気代を建築前に提示可能
※フジタがお客様へ提示している光熱費シミュレーションの一部
フジタでは、このようにお客様ごとのプラン、使う機器ごとの電気代の試算が可能です。
(※プラン確定・外皮計算や一次エネ計算等を行った後)
生涯ローンと言われる電気代をしっかり把握することで、ライフプランの構築もしやすくなり、建築後の後悔を減らします。
気になった方は、フジタのモデルハウスで詳しく解説しますので、ぜひ見学にお越しください。
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