注文住宅の間取りを考える上において、非常に重要な要素である「階段」。
階段の形状・スタイルで1階~2階の設計が大きく変わってきます。
今回は、注文住宅だからこそ選べる階段について深堀していきます。
階段のタイプとそれぞれの特徴、並びにメリットやデメリットなどをしっかり抑えてご自身の理想の間取りはどんなもの?という点を見ていきましょう。
それでは、まずは今回の記事のまとめポイントです。
・階段は事故も多い場所。そのため、階段の設計は安全を優先した設計をオススメ
・階段の形状・スタイルは様々。間取りやインテリアに合わせて設計していきます。
・リビング内階段はコミュニケーションを増やすメリットの反面、冬に暖房の熱が2階へ逃げやすい側面もある
・リビング内階段やスキップフロアは、家のコンセプト・象徴になりえるアイテム。
注文住宅なら知っておきたい!階段の基礎知識
一般的に多い、2階建ての注文住宅で必須な階段は、実は非常に奥が深い部分です。
まず建築基準法の規定では、安全に昇降できるように階段の各部の最低寸法が決められています。
しかし、現実的には建築基準法の寸法で設計すると、非常に急で危ない階段になりますので、フジタでは以下のような寸法で設計しています。
・踏面(2):21~21.5cm(15cm以上)
・蹴上げ(3):18.7~20cm
・階段幅:84.5~106cm(一番多いのは90cm)
出典:大建工業カタログ
ご家族の中に高齢者の方がいらっしゃる場合は、階段の蹴上寸法・踏面寸法などを考慮して、傾斜角の低い階段の設計を行います。
上図のように、屋内の事故発生箇所として階段は高い割合になっています。
住宅は一度建てたら長く住んでいただくものですので、デザインはもちろんですが、まずは長い目で使いやすい階段を考えていただくことをおすすめします。
そして一方、階段は家の間取りを決めるうえで非常に重要な要素です。
階段を、家の中心か?もしくは壁に沿って設置するか?オープンな階段?などによって、家のコンセプトならびに雰囲気も大きく変わります。
階段の形状1つで、特に2階の間取りが有効的に使えるかどうか?大きく変わってきます。
特にコンパクトな家の場合、2階の真ん中に階段を設計すると、2階の廊下を減らすことができ間取りを有効的に使えます。
注文住宅の階段の種類と特徴3選
主流となっている形状では、3つの種類があります。
直階段・かね折れ階段・折り返し階段(コの字)、それぞれの特徴をみていきましょう。
出典:大建工業・パナソニック
直階段
その名の通り、直線の階段です。
オープン階段で多いパターンですが、箱型階段でも一直線に設計することはでき、スタイリッシュなイメージを与えます。
一方では、慣れないと少し怖かったり、踊り場がないため万が一転倒すると危険が伴うという側面もあります。
折り返し階段(コの字型)
折り返し階段、もしくはコの字型階段は最も多く採用される階段形式です。
プランにおいて、専有面積を最小限に抑えることと、階段下をトイレや収納として活用しやすいこともあり採用されることが多いです。
かね折れ階段
かね折れとは、途中で90度曲がった階段のことです。
階段が途中で曲がっていることで、踊り場ができ直階段に比べて降りるときに恐怖感が少ないです。
ただ場所を多く取るため、実際の出現率は低い印象です。
階段の外観の種類と特徴について
出典:パナソニックHP
箱型
最も一般的な階段のタイプです。
両側に壁があり、側板もしくは受け材で支える階段です。
直線、90度曲がり、コの字型など様々なパターンに対応できる点や、納まりにおいても柔軟性が高いことが特徴です。
ストリップ型
踏板と踏板の間が抜けていて、向こうが見えるタイプの階段です。
リビング内階段など、大きな空間に目立つように設置され、スタイリッシュなインテリアから、様々なデザイン性を重視した内装にマッチします。
桁(階段を支える部材)も、金属や集成材などインテリアに合わせて素材自体も選ぶことができます。
注文住宅の階段の設置場所ごとのメリット・デメリット
また昨今では「リビング内階段」という形態も増えつつあります。
お子さんが、リビングを通らないと2階へ行けないような間取りにすることで、普段のコミュニケーションを取りやすくなります。
ただコミュニケーションを取りやすくなる反面、屋内の熱の上下対流が起きやすくなるため、特に冬季は1階リビングが寒くなりがちです。
ZEH相当以上の断熱性があれば、そこまで心配は無用ですが、できれば階段の前に引き戸などを設けるとよいでしょう。(一次エネルギー消費量計算上も)
リビング内階段で大きな吹き抜けも設置される場合は、断熱性と暖房方法に関して設計士としっかり相談をしましょう。
なお、玄関から入ってすぐの階段ではなくリビング内階段を推奨するような話しも巷では溢れていますが、家族それぞれの要望などもあり必ずしも従う必要はないでしょう。
一方、玄関入ってすぐ、もしくは廊下に階段を設けるメリット・デメリットは、リビング内階段の反対になります。
メリットは、1階の間取りを設計しやすいこと、1・2階の熱移動が少ないことです。
デメリットは家族の帰宅時などのコミュニケーションを取りにくい点となります。
割合としては、リビング内階段が少し多いくらいの印象で、ご自身にあった階段の参考になさってください。
注文住宅だからこそ!おしゃれな階段の活用方法
階段のデザイン・設計次第ではオシャレ性もアップします。
特にリビング内階段のオープン階段であれば、なお色や素材などのデザイン性にこだわると家の価値もアップすることでしょう。
また、階段の変わった活用方法としてスキップフロアという選択肢もあります。
スキップフロアとは、上図の中林モデルのような中2階として設けるスペースのことです。
家事スペース、在宅スペース、お子さんの遊び場など様々な使い方ができます。
フジタのアイデア溢れる階段のこだわり事例集
野々市市中林コンセプトハウス
出典:野々市市中林モデル
ステップを導入したリビング内階段(カーブ階段)の事例です。
腰かけることができる高さのステップを入れることで、一度に降りる階段の昇降を少なくします。
白山市コンセプトハウス
出典:白山市モデル
リビング内階段でのオープンな、ストリップ階段の事例です。
ブラックのアイアンで支えられた階段がインテリアのワンポイントにもなっています。
野々市つばきの郷コンセプトハウス
出典:野々市つばきの郷 モデル
こちらも、白山モデルと同様、リビング内階段のストリップ階段の事例です。
明るくホワイト基調のスタイリッシュ寄りのインテリアにマッチする階段に仕上げています。
あさひ荘苑モデルハウス
高天井からの柔らかな日差しで、上質空間を演出するコンセプトハウスが白山市あさひ荘苑にオープン。
メリハリある横長連続窓と、落ち着き感じるミドリの坪庭が見どころ。
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